
詩と歌詞の部屋
Poem & Words of Song
◇もう二十年も前に、歌詞作りに熱中したことがあります。当時の演歌に合わせた耐え抜く日本女性を歌ったような歌詞が多いのですが、ちょうどその頃ポーランドに赴任することになり、赴任したとたん、プツリと作らなくなりました。いや、本当を言うと作れなくなりました。ポーランドでは、女性が強すぎて、泣いて耐えるような、日本的・演歌的な女性は、一人もいなかったからです。まったく演歌世界の逆を行くような環境のもとでは、いくら想像力を奮い立たせても無理というものでした。
歌詞を作るのは、それっきりになっていたのですが、ホームページを開設してから、あちこちの詩人のホームページをめぐっているうち、自分でも作ったことをふと思い出して、アップしてみることにしました。いや、新設された東京国際フォーラムのCホールで、97/2/4の夜に、あまたのヒット曲を残した西条八十の生涯を劇化した「カナリア」(斉藤憐作、木村光一演出)を見たせいかも知れません。作曲に耐えるものがありましたら、よろしく。
新しく『詩のコーナー』を設けました。ご覧になってください。(1997/11/18)
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燃えつきた恋
好きという言葉は
もう誰にも言えない
だって一人の人のために
言ってしまった言葉だから
燃えつきた恋など
嘆いたりしない
幸せなんかいいの
ただ生きてゆくだけ
*
好きという言葉は
もう誰にも言うまい
だってあなたの愛のために
捧げつくした言葉だから
帰らない恋など
追いかけたりしない
思い出だけでいいの
ただ生きてゆくだけ
*
好きという言葉は
もう二度とは言うまい
だってわたしの愛のために
使い果たした言葉だから
破れ去った恋など
悔やんだりしない
一人ぽっちでいいの
ただ生きてゆくだけ
(73/1/31)
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妻に捧げる詩
おいで ぼくの胸にいとしい人
君と歩んだ この年月
こうして君を抱いていると
様々な思い出が浮かんでくる
悲しいこともあったけれど
君と一緒だとぼくは幸せだった
だから、 ぼくに人を幸せにする力があるのなら
そのすべてを君に捧げたい
そして二人で手を取り合って
幸せの世界に飛んで行きたい
*
おいで ぼくの胸に愛する人
君と過ごした この歳月
こうして君と二人でいると
なつかしい思い出が浮かんでくる
苦しいこともあったけれど
君がいてくれるといつも力が湧いた
だから、 この世に幸せというものがあるのなら
そのすべてを君に捧げたい
そして二人で手を取り合って
愛の世界へ駆けて行きたい
(73/2/12)
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吹雪
窓の外は吹雪
舞い狂う雪
窓ガラスを打つ風
部屋のなかには女が一人
恋に破れて
涙に濡れて
小さな胸にも
吹雪が荒れ狂う
あれは三年前のこと
雪降る夜のしじまのなかで
男は女に好きだと言った
*
猛り狂う吹雪
泣き叫ぶ声
ちぎれ飛ぶ思い出
部屋のなかには女が一人
髪を乱して
灯りを消して
せつない胸にも
吹雪が吹きすさぶ
あれは一年前のこと
雪降る夜の暖炉の前で
男は女を好きだと抱いた
*
かき消えた吹雪
顔を出した月
音絶えた夜更け
部屋の隅には女が一人
夢も破れて
涙も尽きて
おののく胸で
試練に耐えている
あれは二時間前のこと
思い出の夜の吹雪の中に
男は女を見捨てて消えた
(73/1/19)
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皮肉な?巡り会い
捨てたはずだとそっぽを向いてても
なぜか心は震えるばかり
魅惑的だな今夜のあの娘
ああ 銀座 銀座 四丁目
皮肉な巡り会い
*
忘れたはずだとすげない振りしても
いつか心はひかれるばかり
罪なそぶりの今夜のあの娘
ああ 銀座 銀座 四丁目
皮肉な鉢合せ
*
別れたはずだと知らない振りしても
なぜか心は沸き立つばかり
隅におけない今夜のあの娘
ああ 銀座 銀座 四丁目
皮肉なすれ違い
*
切れたはずだと未練を抑えても
やっぱり心は乱れるばかり
放っておけない今夜のあの娘
ああ 銀座 銀座 四丁目
素敵な巡り会い
(70/4/4)
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いつわりの人生航路
せつない恋のなきがらを
拾ってくれた人だから
愛という字も知らぬまま
一緒になっただけなどと
きいたセリフで強がって
交す枕に初恋の
人に抱かれる夢を見る
ああ わたしは悪い
悪い女ねいつわりの
人生航路を今日も今日も
流れゆく
*
命の恋に破れ果て
涙もかれたときだから
愛という字も知らぬまま
身体をあげただけなどと
ひとりよがりに強がって
抱かれながらも初恋の
男の名前を呼んでみる
ああ わたしは悪い
悪い女ねいつわりの
人生航路を今夜も今夜も
流れゆく
(70/)
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軽はずみなあなた
あなたの軽はずみなあのひとことで
わたしの恋の炎は消えてしまったの
いまさらやさしいことばをかけてくれても
わたしにはただうつろに響くだけよ
さっきのあの熱いくちづけさえも
もう遠い昔ことみたい
さよなら
わたしに恋を教えてくれた
軽はずみなあなた
だからもうひとりにしておいて
泣きたくなるとこまるから
*
あなたの思いがけないあのこたばで
わたしの愛のうずきは消えてしまったの
いまさらきつく抱きしめてくれても
わたしにはただむなしく思えるだけよ
いつもはすてきなジョークさえも
もう聞き飽きたレコードみたい
さよなら
わたしに恋を教えてくれた
お馬鹿さんのあなた
だからもう何にも言わないで
涙なんか流したくないから
*
あなたのなにげないあのひとことで
わたしの燃える思いも冷めてしまったの
いまさら何を言い繕ってみても
わたしにはただ悲しみをそそるだけよ
うなじに熱いささやきさえも
もう色褪せたカタログみたい
さよなら
わたしに恋を教えてくれた
二枚目気取りのあなた
だからもうそばには寄らないで
泣き顔なんか見せたくないから
(70/11/18)
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恋の思い出
ほらおぼえているかい
あの小さな喫茶店の片隅で
未来を語り合った夕べを
今になって振り返ってみると
あれがぼくらの恋のなりそめ
恋にとまどいおまえの手は震えていた
失恋するのがこわいと
おまえは小さな肩をこわばらせていた
*
ほら思い出してごらん
あのさみしい公園のベンチで
星空を見上げた夕べを
今になって考えてみると
あれがぼくらの恋のきっかけ
恋におびえておまえの眼はうるんでいた
二人きりなのがこわいと
おまえは小さな身体を震わせていた
*
ほらおぼえているだろう
あの暮れゆく海岸のあずまやで
花火を数えた夕べを
今になって思い出してみると
あれがぼくらの恋のはじまり
恋にめざめておまえの眼は光っていた
潮風さえも甘いと
おまえはやさしく身体をすり寄せてきた
(70/11/24)
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にくいあの娘
一人の男と一人の女の
眼と眼が合ったただそれだけなのに
なぜか心が乱れるおれさ
一目惚れなど信じちゃないが
そしらぬそぶりの あの娘がにくい
*
一人の男が一人の女に
心引かれたただそれだけなのに
なぜか身体が燃え立つおれさ
浮気心をせめるじゃないが
いかすスタイル あの娘がにくい
*
一人の男が一人の女を
お茶に誘ったただそれだけなのに
なぜかことばが震えるおれさ
プレイボーイを気取るじゃないが
おつにすました あの娘がにくい
(70/10/10)
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あの女(ひと)の思い出
何を話したろうあの女と
何を夢見たろう二人で
今は何も覚えていないけれど
忘れられないあの女
あの熱いくちづけ
*
どこへ行ったろうあの女と
どこを歩いたろう二人で
今は何も思い出せないけれど
忘れられないあの女
あの赤いくちびる
*
何故に離れたろうあの女と
何故に別れたろう二人は
今は何も話したくないけれど
忘れられないあの女
あの燃えるまなざし
(70/4/11)
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あの頃の思い出
二人きりだった
朝も昼も夜さえも
二人きりだったあの頃
くちもとに湧くほほえみも
ひそかに交すまなざしも
みんなみんな 二人だけのものだった
あの頃
*
二人きりだった
いつもいつもどこまでも
二人きりだったあの頃
熱い真夏の太陽も
暗い夜のしじまも
すべてすべて
二人だけのものだった
あの頃
*
二人きりだった
昨日も今日も明日さえも
二人きりだったあの頃
燃える熱いくちづけも
やさしい愛の語らいも
何もかにも
二人だけのものだった
あの頃
*
思い出よ
遥かに遠い空に浮かぶ
白い小さな雲よ
いつか
風に流れて消えてしまうとき
人はひとり旅に出るのさ
あの白い小さな 雲を求めて
(70/4/11)
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ホステス哀歌
三十路の盛りを裏町の
小さなバーのカウンター
はかない稼業の売り物は
涙もろさと男好き
だけど心は売らないわ
いつか別れたあの人に
巡り会うまで巡り会うまで
取って置く
*
三十路の春も路地裏の
さびれたバーで過ぎてゆく
わびしい稼業の出で立ちは
赤い口紅アイシャドー
だけど心は見せないわ
いまも夢見るあの人に
そっと大事にそっと大事に
取って置く
*
三十路の女のせつなさを
今夜も酒でまぎらわす
しがない稼業で身につけた
嫌な男になびくふり
だけど心は許さない
いまも愛するあの人に
巡り会う日に巡り会う日に
上げるため
(72/7/27)
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新宿女雨
何故にあなたは好きだと抱いた
他人のままなら未練はないわ
罪なセリフでだましておいて
そしらぬ振りして去っていく
ああ あなたは憎い
憎い男ね
新宿に
女涙の雨が降る
*
何故にあなたはだまして消えた
好きでなければつらくはないわ
味な言葉で酔わせておいて
平気な顔して捨ててゆく
ああ あなたはひどい
ひどい男ね
新宿に
女恨みの雨が降る
*
何故にあなたは好きだと言った
嘘と知ってりゃ泣きなどしない
粋な態度で気を引きながら
すげない顔して消えてゆく
ああ あなたはつれない
つれない男ね
新宿に
女泣かせの雨が降る
(72/7/31)
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わが夏の夕べ
静かに暮れ行くわが夏の夕べよ
木々の香は窓辺にあふれ
ほのじろき夕月は山の端に浮かぶ
*
ほのかに香るかわが夏の夕べよ
鳥のさざめきいつしか消えて
ほのじろき黄昏は山の端に迫る
*
静かに暮れ行くわが夏の夕べよ
虫の鳴く声くさむらに満ちて
ほのじろき夕霧は山の端を閉ざす
(72/8/3)
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甘えたいのよ
甘えたいのよほんとうは
だけどだめなのできないの
愛しているのに言えないの
こんな気持ちってあるかしら
自分で自分がわからない
*
すがりたいのよ心から
だけどだめなのできないの
喉まで出るのに言えないの
こんなことってあるかしら
自分で自分がわからない
*
たよりたいのよしみじみと
だけどだめなのできないの
夢中だけれど言えないの
こんなわたしって変かしら
自分で自分がわからない
(72/7/31)
歌詞の目次へ
お別れにもう一度
そのことだけは言ってほしくなかった
でももう遅すぎるわ
わたしも感じていたの
あなたに心から愛されていないってこと
やっぱりわたしの一人相撲だったのね
でも素敵だった
二人きりで過ごした夜
さよなら あなた
もう会えないのね
お別れにお願い
もう一度だけくちづけして
*
そのことだけは教えてほしくなかった
でももうおしまいね
わたしも感ずいていたわ
あなたに別のひとがいるらしいってこと
やっぱりわたしがお馬鹿さんだったのね
でも心から
愛していたわあなたのこと
さよなら あなた
もう会えないのね
最後にお願い
もう一度だけ抱きしめて
*
そのことだけは触れないでほしかった
でももう済んだことよ
わたしも気付いていたの
あなたにさよならする日が近いってこと
結局わたしの勘が当たったわけね
でもいつまでも
忘れないわあなたのこと
さよなら あなた
もう会えないのね
お別れにお願い
もう一度だけ夢中にして
(72/7/29)
歌詞の目次へ
いつもひとこと多いのよ
君が好きだと甘いこと
にっこり笑えばその後で
顔がなければなお好きなんて
ほんとにあなたってひどい人
いつもひとこと多いのよ
*
粋な着物とほめそやし
気取ったポーズで歩かせて
中身がなければなお粋なんて
ほんとにあなたっていじわるねぇ
いつもひとこと多いのよ
*
君が欲しいと抱き寄せて
さんざ遊んで楽しんで
君よりからだがなおいいなんて
ほんとにあなたって憎い人
いつもひとこと多いのね
(72/8/4)
歌詞の目次へ
涙の夕暮れ
川のほとりにたたずんで
水面に浮かぶわくら葉を
ぼんやり見つめる日暮れどき
ふとこみあげる寂しさに
別れた人の名を呼べば
なぜか涙で目が曇る
*
落ちる涙をふきながら
川面に映る夕月を
しみじみ見つめる日暮れどき
ふとこみあげるわびしさに
愛した人の名を呼べば
またも涙は頬つたう
*
流れに沿って歩みつつ
ねぐらに帰る水鳥を
つくづく見つめる日暮れどき
ふと胸をつく哀しさに
いとしい人の名を呼べば
いつか涙の日が暮れる
(72/8/2)
歌詞の目次へ
真夏の海
この照りつける太陽
波のしぶきと潮風
褐色の肌
白いヨット
オーオー青春
たくましい筋肉
あふれるエネルギー
沖へ向かって
メイク・セール
*
この湧き上がる白雲
波のうねりと海鳥
濃紺の空
赤いボート
オーオー青春
空をつく闘魂
みなぎるエネルギー
島を目指して
テイク・オール
*
この焼きつける太陽
潮のかおりと寄せ波
金色のブイ
白いサーフィン
オーオー青春
ゆるがない精神
湧きでるエネルギー
波をくぐって
ライド・サーフ
(72/8)
歌詞の目次へ
その子
ある朝 バスの中で会ったんだ
小柄で痩せたその子に
いたずらっぽい瞳
しゃべり出しそうなとがった唇
女学生みたいなお下げ髪
それでも
なんとなくぼくは気を引かれたのさ
だって その子もぼくをそっと見ていたんだもの
*
翌朝 隣の席に座ったんだ
お茶目でうぶなんその子が
チャーミングなほほえみ
ものおじしない大胆な態度
機関銃みたいな話っぷり
それでも
なんとなくぼくは好きになったのさ
だって その子もぼくを横目で見ていたんだもの
*
翌週 デートに誘ったんだ
痩せっぷでうぶなその子を
おずおずしたそぶり
まるっきり横を向いているまなざし
はじめてみたいなはにかみよう
それでも
なんとなくぼくは愛しちまったんだ
だって その子もぼくをこっそり見つめていたんだもの
(72/8/4)
歌詞の目次へ
雨の降る夜は
雨の降る夜は
そっとドレスを脱ぎ捨てて
好きな男と別れた夜を
ひとり静かに偲びます
せつない想いに誘われて
そのままベッドに入ります
*
雨の降る夜は
ひとりベッドに寝転んで
好きな男に抱かれる夢を
煙草のけむりで描きます
ものうい灯りにつつまれて
この世の憂さを忘れます
*
雨の降る夜は
そっとベッドを抜け出して
好きな男に抱かれる様を
煙鏡に写して眺めます
やるせぬ思いにつまされて
いそいでベッドに戻ります
*
雨の降る夜は
白いシーツにくるまって
好きな男と過ごした夜を
熱い吐息で描きます
燃える思いにとらわれて
枕にきつくすがります
(72/8/24)
歌詞の目次へ
女ひとりで
生きてゆくのはせつないものね
惚れた男にゃ捨てられました
二度と惚れぬと心に決めて
女ひとりで生きてきた
だけど身にしむさびしさに
枕を濡らす夜がある
*
生きてゆくのはきびしいものね
ほんとは誰かにすがってみたい
男にゃ惚れぬと気を張りながら
女ひとりで生きてきた
だけど死ぬほどせつなくて
涙にくれる夜がある
*
生きてゆくのはさびしいものね
誰かに甘えて寄り添いたいわ
男は嫌いと意地張りながら
女ひとりで生きてきた
だけど自分がいとしくて
涙をこぼす夜がある
(72/8/24)
歌詞の目次へ
お別れの夜
これがお別れの夜だってことをお前は知らない
ぼくを見つめるお前の信じ切った瞳
ほほえみを抑え切れないその口元
ぼくは決して忘れはしない
もし本当のことを話したら
お前はたちまち泣き出してしまうだろう
でも仕方がないんだ
これがお前を幸せにする
たったひとつの方法なのだから
さよならぼくのハニー
こんな妻子ある男のことは忘れて
本当の恋人を見つけておくれ
*
これがお別れのダンスだってことをお前は知らない
ぼくを酔わせるお前のあざやかなステップ
ときめきを伝えてくるこの胸元
ぼくは決して忘れはしない
もし本当のことを教えたら
お前はこの場に倒れこんでしまうだろう
でも許しておくれ
これがぼくらに定められた
たったひとつの方法なのだから
さよならぼくのベビー
こんな浮気ものの男のことは忘れて
本当の愛情に目覚めておくれ
*
これがお別れのキッスだってことをお前は知らない
ぼくを悩ますお前のやるせない吐息
欲望を隠しきれないこの唇
ぼくは決して忘れはしない
もし本当のことが分かったら
お前はこのまま気を失ってしまうだろう
でもしょうがないんだ
これが二人に許された
たったひとつの方法なのだから
さよなら可愛い人
こんな実のない男のことは忘れて
本当の幸せをつかんでおくれ
(72/9/17)
歌詞の目次へ
君に捧げる詩
ふるさと離れたその日から
君と会える日待っていた
あの山川のなつかしい
かおりが君のかおりだね
ああ ふるさとに君がいて
ぼくは会える日待っていた
*
遠く離れてしまったが
君の言葉を信じてた
あの城跡のあたたかい
日差しが君の心だね
ああ ふるさとを思うたび
君と添える日祈ってた
*
夜寝るときはかたわらに
君の写真を置いて寝た
あの湖の透き通る
水面が君の瞳だね
ああ するさとに帰る日に
君がほほえむ夢を見た
*
朝が来るたび忘れずに
君の面影抱きしめた
あの頂の汚れない
夜明けが君の素顔だね
ああ ふるさとの空遠く
君の幸せ祈ってた
*
遠く離れているだけに
君の体を案じてた
あの山道に咲き匂う
ききょうが君の姿だね
ああ ふるさとの駅に立ち
君の手を取る夢を見た
*
昨夜届いた電報で
君の不孝を知らされた
いまふるさとに降り注ぐ
光が君のみたまだね
ああ ふるさとに着いた日に
君のなきがら抱こうとは
(72/10/15)
歌詞の目次へ
愛の深淵
裏切った男と裏切られた女と
男は許しを乞い 女は泣きながら許す
これはありふれた男と女の姿だけど
人は知らない
そのとき二人に訪れる
思いもかけない愛の高まりを
裸で抱き会う男と女の姿は
みすぼらしいけれど
裸になったふれあいは
幾千の太陽よりもまぶしく燃え上がる
おお そこにこそ
男と女の愛の不思議
愛の深淵がのぞいている
*
傷つけた男と傷つけられた女と
男は頭を垂れ 女は黙ってうなずく
それはありふれた男と女の話だけど
人は知らない
そのとき二人が気付く
思いもかけない愛の深まりを
傷つけ傷ついた男と女の姿は
みじめなものだけれど
苦しみを超えた二人の結び付きは
鋼の鎖よりもしっかりと離れない
おお そこにこそ
男と女の愛の奇蹟
愛の深淵がのぞいている
*
泣かせた男と泣かされた女と
男はハンカチを出し 女は口元を押さえる
それはありふれた男と女の世界だけど
人は知らない
そのとき二人が入り込む
思いもかけない愛の極まりを
涙を拭き合う男と女の姿は
わびしいものだれど
悲しみを越えた二人の愛情は
雪解けの早瀬よりも激しくほとばしる
おお そこにこそ
男と女の愛の極致
愛の深淵がのぞいている
(72/10/17)
歌詞の目次へ
ひそかな愛
いけないことをしてるわけじゃない
だけどなぜだか隠しておきたい
だって こんなにすばらしい恋を
よその誰かに 気づかれたくないの
朝の光の中で胸を抱きしめる
ああ このときめき
この恋のよろこび
*
いけないことをしてるわけじゃない
だけどひそかにしまっておきたい
だって わたしの初めての恋を
よその誰かに 盗まれたくないの
夜のしじまの中で耳を傾ける
ああ このささやき
この恋のいざない
*
いけないことをしてるわけじゃない
だけどひとりで隠しておきたい
だって あなたの本当の愛を
よその誰かに 奪われたくないの
夕べのとばりの中で瞼を閉じると
ああ このくるめき
この恋のしあわせ.....
(72/10/18)
歌詞の目次へ
新しい恋の朝
心はひそかに燃えるのに
瞳が涙で曇るのは
わたしのはかない初恋の
残り火消して新しい
恋に飛び立つ朝だから
#
家庭教師の彼は
恋も教えてくれました
だけどわたしの片思い
いつしか消えゆく恋でした
#
青いジーンズの彼とは
夏の浜辺で遭いました
白い歯まぶしく日に焼けた
目元の素敵な人でした
*
瞳は希望に光っても
まぶたをちょっぴり伏せるのは
わたしの短い初恋の
夢から覚めて新しい
恋に目覚めた朝だから
#
大学生の彼は
恋の手ほどきしてくれた
だけどやっぱり片思い
別れの待ってる恋でした
#
目元に引かれた彼とは
一緒に渚をかけました
潮風みたいになつかしい
香りの漂う人でした
*
頬に微笑み浮かぶのに
涙でちょっぴり濡れるのは
わたしの幼い初恋の
思い出消して新しい
恋の芽生えた朝だから
#
家庭教師の彼は
恋のお相手してくれた
だけど実らぬ片思い
所詮はかない恋でした
#
海で別れた彼から
昨日電話がありました
優しくデートに誘われて
思わず頬を染めました
(73/1/8)
歌詞の目次へ
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言葉を越えた愛
涙さえあれば言葉はいらない
心はひとつ愛ひとつ
頬に伝わるその涙
ぼくはお前の愛を知る
二人で駈けよう愛の空
二人で描こう愛の星
ラ・ラ・ラ・ラー
ララララ
*
笑顔さえ見れば言葉はいらない
心はひとつ愛ひとつ
頬に輝くその笑顔
ぼくはお前の愛を知る
二人で歩もう愛の道
二人で語ろう愛の園
ラ・ラ・ラ・ラー
ララララ
*
瞳さえ見れば言葉はいらない
心はひとつ愛ひとつ
夢にきらめくその瞳
ぼくはお前の愛を知る
二人で築こう愛の家
二人で飾ろう愛の花
ラ・ラ・ラ・ラー
ララララ
(73/1)
歌詞の目次へ
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泣いていたんだね
泣いていたんだね君は
小さな肩ふるわせ
船の姿も消えた
たそがれの波止場で
*
誰と別れたの君は
そんなに肩ふるわせ
遠く汽笛も夜霧に
消えて行く波止場で
*
祈っていたんだね君は
小さな手を合わせて
別れた人がいつかは
帰ってくるその日を
(73/1)
歌詞の目次へ
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夜と恋の亡きがらと
ひとつの恋が今宵も消えて
亡きがらだけが冷たく残る
夜よ お前の黒い衣装は
恋を弔う悲しい喪服
そぼ降る雨に心も濡れて
胸に真珠の涙が光る
*
ひとつの恋がはかなく消えて
ぬけがらだけがさみしく残る
夜よ お前はなにも知らずに
恋を弔う悲しい使い
冷たい風に心も冷えて
熱い涙もたちまち凍る
*
ひとつの恋がむなしく消えて
もえがらだけがせつなく残る
夜よ お前の黒いベールは
恋を弔う悲しい喪章
漆の闇に望みも失せて
哀しみだけが心によどむ
(73/2/9)
歌詞の目次へ
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七色の恋のバラード
バラ色の恋は爽やか
雪の融ける三月に
夢多き乙女が恋を知る
ラララ
雪白の頬が
初めての恋の
ほら朝焼けのような
バラ色に染まるよ
*
緑色の恋は豊かに
風薫る五三月に
黒髪の乙女が恋を知る
ラララ
ふくよかな胸に
知り初めた恋の
ほら新芽のような
緑色が揺れるよ
*
金色の恋は激しい
光溢れる八三月に
情熱の乙女が恋を知る
ラララ
躍動する肢体に
思い込めた恋の
ほら太陽のような
金色が弾ける
*
青色の恋は秘めやか
月の照り映える九月に
幸薄き乙女が恋を知る
ラララ
透き通る瞳に
秘められた恋の
ほら湖のような
青色が光るよ
(72/10/7)
歌詞の目次へ
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これから先はどうなるの
恋に破れた苦しみ逃れ
一人ここまで来たけれど
これから先はどうなるの
見知らぬ町の見知らぬ浜に
打ち捨てられて船一つ
沖のかもめも知らぬ顔
*
磯の鳥なら飛び立つものを
羽をもがれた女では
これから先はどうなるの
今さら流す涙も涸れて
冷たい砂地に身を投げりゃ
藍い波間に日が沈む
*
暮れた浜辺に吹く風強く
隠れる術なくさまよえば
これから先はどうなるの
生きる望みも次第に失せて
波打ち際まで来てみれば
いつかぽっかり白い月
(73/11/5)
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哀しい日課
夜になったらまた思い出す
悲しい女のからだが憎い
引かれるように街に出て
飢えた目つきで男(ひと)を待つ
堕ちた女の哀しい日課
*
こんなからだにしておきながら
わたしを捨てた男が憎い
何も知らない生娘を
慰物に弄び
逃げた男の噂も消えた
*
火照るからだを夜風にさらし
街から街へと獲物を漁る
見知らぬ男に声を掛け
はねつけられて追いすがる
だめな女の哀しい日課
(73/12/9)
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七年目のデート
忘れていたわけじゃないの
考えてもみなかっただけ
七年振りに逢うなんて
初恋のあなたと
お茶を飲んで別れて
そのつもりで来たのに
どうして心は燃えるの
いけないわたし
*
考えなかったわけじゃないの
電話がかかってくること
七年振りに好きなんて
罪作りな人ね
お茶を飲んで別れて
そのつもりでいるのに
どうしてそんな目で見るの
いけないあなた
*
忘れていたわけじゃないの
考えたくなかっただけ
七年振りに逢ったのに
家族のことなど
お茶を飲んで別れて
そのつもりでいたのに
どうしてこんなことになったの
いけない二人
(73/12/19)
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ふられ節
[台詞]世の中右を向いても左を向いても真っ暗闇じゃござんせんか。こんないい男がふられるなんて、女には男を見る目がないんですかねぇ・・・
北風寒い街角で
彼女とデートの待ち合わせ
今日こそきっとプロポーズ
する気でいたのにまだ来ない
だんだん頭が熱くなる
ジンジンズンドコジンジンジン
*
彼女はとうとう来なかった
やっぱりおいらはふられたか
泣くに泣けないこの気持ち
ふられてみなけやわかるまい
じんじん心がうずきます
ジンジンズンドコジンジンジン
*
彼女にふられてさまよえば
北風ますます身にしみる
せっかく買ったこの指輪
ドブにすてよか潰そうか
きらめく色さえうつろだね
ジンジンズンドコジンジンジン
(73/12/6)
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わたしの心は青い蝶
わたしの心は青い蝶
恋に破れて傷ついて
枯れ葉の陰で泣いている
羽の破れた青い蝶
それでもいつかは青空を
飛んでみたいと夢を見る
*
わたしの心は青い蝶
冷たい言葉に傷ついて
枯れ葉の陰で震えてる
命はかない青い蝶
それでもいつかは春の野で
舞ってみたいと夢を見る
(73/12)
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城跡旅愁
ふるさとの城跡に
すすき穂が揺れるよ
胸に思い秘めて
語り合ったあの女(ひと)
今はどこへ行った
風の噂聞くだけ
*
城跡を巡れば
思い出が込み上ぐ
若い友と輪になり
酒を酌んだ二の丸
今はみんなちりぢり
ただ風が吹くだけ
*
本丸に登れば
満月は照り映え
若い友の笑顔が
すすき穂に浮かぶよ
今はみんなちりぢり
ただ虫が鳴くだけ
(97/12/27)
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二人の山の朝
霧が流れてゆく乳色の霧が
二人の山の朝はもうすぐ明ける
岩場に登ってあなたを呼べば
谷のかなたにこだまが響く
*
空が見えてきた瑠璃色の空が
二人の山の朝は機嫌がいいな
朝日に向かってヤッホーと呼べば
尾根の向こうに頂光る
*
風が吹き抜ける爽やかな風が
二人の山の朝は笑っているよ
あなたと並んで山道ゆけば
流れる汗にも心が弾む
(73)
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別れ酒(バージョンー1)
人恋しさに駆られて寄った
駅前通りのカラオケ酒場
心に染みる唄のこぶしに
思わず振り向き目と目が合った
あなたと出会いの幕が開く
*
そぼ降る雨に肩寄せ合って
そぞろ歩いた夜更けの街よ
単身赴任と夫を待つ身
別れが辛くて寄り添う角で
抑えた慕いに火がついた
*
人目忍んだ切ないデート
いくど重ねた名もないホテル
尽きぬさみしさ知る身の二人
いつとは知れない別れに怯え
激しい炎に身を焼いた
*
身を切る思いで別れの杯を
密かに交したホテルの小部屋
震える手つきでグラスを掲げ
じっと見つめたその目に光る
溢れる涙に愛を見た
(94/10/3)
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別れ酒(バージョンー2)
あなたとぼくとが別れの酒を
ひっそり交した馴染みの酒場
慣れぬ手つきでお猪口を受けて
じっと見つめた瞳に光る
涙の滴に愛を見た
*
あなたとぼくとが初めて会った
駅前通りのカラオケ酒場
心に染みる唄のこぶしに
思わず振り向き目と目が合って
二人の出会いの幕が開く
*
あなたとぼくとが肩寄せ合って
そぞろ歩いた公園通り
単身赴任と夫を待つ身
そっと寄り添う大樹の陰で
燃える慕いに火がついた
*
あなたとぼくとが密かなデート
みとせ重ねた名もない通り
尽きぬさみしさ知る身の二人
いつか知れない別れに怯え
激しい炎に身を焼いた
(94/10/4)
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男のずるさ
妻子ある身のそぶりも見せず
言葉すくなにやさしく抱いた
男のずるさとわかっていても
好いた弱みで許してた
だからなおさら悲しいの
さよならさえも言わせず去った
一人相撲のあなたのことが
*
二人の未来に関わる話
言葉濁して静かに笑う
男のずるさとわかっていても
それでもいいと黙ってた
だからなおさら悔しいの
別れの合図くれずに消えた
自分勝手なあなたの仕打ち
*
好きとは気軽に言うけれど
愛という字に決して触れぬ
男のずるさとわかっていても
別れるよりはと思ってた
だからなおさら虚しいの
私の気持ち踏みつけにした
一人よがりのあなたのことが
(97/5/21)
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ご愛読ありがとうございました。