[作家の手帳]の部屋

Writer' Notes

since November 27,1997

日頃折にふれて書き留めた覚書を、サムセット・モームの「作家の手帳」のひそみに習い、この部屋に、アットランダムに、掲載してゆきます。ご愛読いただければ幸いです。

 
 
目次
掲載日索引へ
事項索引へ

余暇時代の趣味的・知的生活ハンドブック・スケルトンへ

 

自分自身のための知的生活のための覚書へ


事項索引
あ行
『悪童日記』『アメリカン・タイム』あやつる『イギリスはおいしい』一番不幸な男|

か行
『カメラ』眼力|希望的観測の男|鎖を垂らして歩いている女の子|訓読|芸術には形式がつきもの『ゲーテとの対話』|ゲバントハウス弦楽四重奏団

さ行
幸せな男成熟した女性|戦後わたしが食べたことのある食べ物

た行

な行
長生きの作家とその作品|日本抜きで-金があるだけでは歓迎されない

は行
『花咲くチェリー』|光|船乗り

ま行
無意識の美しさと意識している美しさ|

や行
ら行
『ラ・アルカリアへの旅』ルールを無視しても頑張る企業体質
 

わ行



掲載日索引
1997/11/271997/12/11997/12/261998/3/19-11998/3/19-2|1998/3/25

(1997/11/27掲載)
眼力
人は自分自身を見抜く眼力を持った人を嫌う。また世間並みの尺度以上の尺度で計ろうとする人をも嫌う(1971/9)


幸せな男
つまんない女であるくせして自分のことをとてもすてきな女と思っている女をつまんない女とも知らずとてもすてきな女と思って連れ歩いている男(1970)

一番不幸な男
つまんない女であるくせして自分のことをとてもすてきな女と思っている女をとてもつまんない女であると思いつつもそれ以外の女には相手にされないのでやむなく連れ歩いている男
(1970)

希望的観測の男
つまんない女であるくせして自分のことをとてもすてきな女と思っている女を自分でもつまんない女と思っているがだれかとてもすてきな女と思ってくれるかもしれないと思いつつ連れ歩いている男(1970)
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無意識の美しさと意識している美しさ
女性は、見られていることを意識していないときの方が美しいか、それとも意識しているときの方が美しいか。私は、意識しているときの美しさに軍配を上げる。もちろん完全に一人でいるときを除けば、女性は完全見られているということから無意識にはなれないであろう。しかしただ漠然と人目を意識しているときよりか、ある特定の男性の注意が自分の上に注がれていると意識しているときの方がより美しくなるように思う。思うに女性の美しさとは、花や月の美しさとは違い、いわゆるお色気がふんわりとあたりを包む程度でなければならないということであり、お色気とは男性の目を意識するところにしか出てきようがないものなのである。(1971/7/8)


長生きの作家とその作品
作家が長生きすると、一世代昔に発表した作品であっても、なんとなく生きの良い現代文学のような錯覚に陥ることがある。たとえば、モームの『人間の絆』などは、作家の手帳のなかでモームがあれは30年前に出したものだと1944年のノートのなかで述べているのだから、もかれこれ55年も前の作品になるのだが(人間の絆は1912年に書き始められ1915年発表された)モームがつい最近まで生きていた(1965年12月16日没)せいもあって、だれしももっと新しい作品と思い込んでいる。『人間の絆』の場合、明治大正期の近代日本文学が注釈付きで出版されるなかにあって、つねに現代語に翻訳されて提供される洋書の強みももちろんあるのであろうが、夏目漱石の『こころ』などと同じ年代の作品と知って驚く人は多いはずである。(1970/1/26)
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戦後わたしが食べたことのある食べ物
かいこのさなぎをすりつぶしたもの
芋の蔓B種芋にした後の芋
かぼちゃの葉および蔓
おから
糠饅頭
お汁の中にご飯粒が浮いているおかゆ
芋饅頭(角切りにした芋をメリケン粉といっしょに蒸かしたもの)
手製のパン(トタンを張ったパン焼きで、メリケン粉にイースト菌を混ぜて焼く)
川のエビ
犬が置き忘れて行った鶏
里芋の茎
育てたうさぎ
里芋の茎
高粱


育てた山羊
かたつむり
松にすくっていた白い虫
(1970/1/28)
 

成熟した女性
日本の女性には成熟した感じを与える女性が極めて少ない。それでも、容貌や化粧、身のこなしなでが成熟した感じを与える女性はいるにはいるが、精神的に成熟した感じを与える女性となるとほとんど見当たらない。
一個の確立した人格というものに到達するには、まだまだ日本の女性はかかりそうである(ルソーの書物などを読むとすでに18世紀においてすら、フランスには男性と対等に渡り合う女性がいたことがわかる)。
日本の封建制度および近代絶対主義時代の風潮がかかる女性の停滞を招来せしめたものか。(1970/1/26)
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鎖を垂らして歩いている女の子
腰のあたりから鎖を垂らして歩いている女の子がいる。わたしはいつでもあなたの鎖につながれる用意がありますという意思表示か。ちょうど愛玩犬のように。(1970/1/26)


芸術には形式がつきもの
音楽や絵画などは形式に規定されている。およそ芸術といわれるものは、一定の形式内で収まっている限りにおいて一つのジャンルを形成しうるのであって、形式を完全に破壊してしまうと、それは新たな芸術の誕生か、非芸術的なものの登場である。短歌が5,7,5,7,7の31字の形式を完全に離れてしまえば短歌でなくなるように。しかし、単に5,7,5,7,7の31字の形式に合致していさえすれば、すべて短歌といいうるか疑問である。その意味では、芸術は形式はともかくその内容によっても、大きく規定されているといえよう。(1969/11/11)

日本抜きで-金があるだけでは歓迎されない
『円への警告』のなかで指摘するようにバブル経済の崩壊後、欧米の絵画のオークションの場から日本勢が退いたことに対し、オークション主催者側では、上客を逃がしたという感覚よりも、ルール撹乱者がいなくなって、清々したという感覚のほうが強い。日本がルールを守る節度ある態度をとれる国として行動しないならば、絵画オークションの場にとどまらず、国際市場そのものが、まったく同じ感覚をもちかねないのではないか。(1992/7/8)

ルールを無視しても頑張る企業体質

企業がルールを破らなければ存在(存続)できないのであれば、存続をギブアップするのが普通だろう。ところが、日本企業は「社員の首を切らない」という美名のもとに、ルールを破ったり無視したりしても、とにかく頑張ろうとする。その意味で、歯止めがきわめてかかりにくい体質を持っている。これが、個人ベースでのカローシにもつながっている。その背後に法や人権を無視ないし軽視する思想(思想というに値しない考え方、あるいは思考の欠落)がある。(1992/7)

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(1997/12/1追加)

あやつる
「あやつる」という言葉には人を誘い込む魅力がある。
対象は、人でも、人形でも、何でもいい、大概の人はあやつってみたいと思っているし、あやつることが好きだ。その伝でいけば、人が車を操縦することが好きな理由がよくわかる。数百キログラムの小型車から数十トンもある大型車、ハイテクやメカの塊のような車を自由自在にあやつれるのだ。この頃では、女友達、女房一人あやつれない男にとって魅力なら、力の弱い女性にとってもめったに味わえない魅力をもっている。
権力者は、人をあやつる。庶民はせいぜい車をあやつって日頃、あやつられている憂さを晴らす。(1992/6/1)

 

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(1997/12/26追加)
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訓読/『ゲーテとの対話』/ゲバントハウス弦楽四重奏団/『花咲くチェリー』//船乗り

訓読
末木文美土の『日本仏教史』によれば、日本の仏教の導入は、漢訳された経典をそのまま訓読する形で行われた。そのため、中国人が、原点から中国語へ翻訳するために、長期間にわたって試行錯誤を繰り返したプロセスをまったく省くことになった。このことが、日本人が仏教をその文化の中に取り入れるうえで、真の理解抜きの、表層的なものにとどまらせる要因となった。自国の言語の文脈の中に完全に置き換えられないかぎり、真に身についたものにはなりえない。(1993/5/24)
 

ゲバントハウス弦楽四重奏団
いかにもオーソドックスな演奏でしみじみと胸に響いてくる美しい音色、年季のはいったアンサンブル。室内楽の良さを久しぶりにたっぷり味わった。K・ズスケは、ポーランド時代にずいぶんとレコードを買ったことがある。今回は第一バイオリンを父親K・ズスケが弾き、第二バイオリンを息子が弾いた。顔つき、体つきがそっくりで、息子のほうがやや大柄で精力盛んな感じ。父親のほうがちょっとしぼんだ感じ。両人とも眼鏡をかけ、頭がはげている。そのはげ方まで相似形。息子のほうがほんの少し髪が多い程度で、親子の年齢差はない。息子はちょびひげをはやしている。(1993/1/12)

観劇『花咲くチェリー』
(地人会公演;紀伊国屋ホール)
北村和夫の熱演で身応えがあった。ロンドンの保険代理店のしがない平社員とその家族を中心として、その居間だけの単純な舞台設定の中で、夢を抱きながら、現実生活に妥協して生き、それも中途半端にならざるをえず、家族には背かれ、挫折していく中年の男のあわれな姿が浮き彫りにされる。親と子、夫と妻とのコミュニケーションの難しさが、うまく劇化されていて、リアリティがある。
観る者には、主人公の生き方、けっして世渡り上手ではなく、すぐぶつかってしまう性格に、もどかしさを感じるものの、決して憎めない人間性を見て感情移入するのである。妻役の川口敦子も淡々とした役づくりで、北村の熱演を巧みに支えている。(1997/2/5)
1997/12/26indexへ戻る
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エッカーマン『ゲーテとの対話』
エッカーマンの『ゲーテとの対話』(山下肇訳 岩波文庫。訳者の山下先生から恵贈されたもの)は、ゲーテが若いエッカーマンに知的生産、創作活動のノーハウをかみ砕いて教示する趣があり、私にとっても非常に有益である。最初は「大物をめざさず、まず身近のとりつきやすいものから始めよ」というアドバイスや、いったんモチーフを決めたら、「骨惜しみをしないで、とことんまで研究してから、それを描け」といったサゼスチョンに溢れており、実作者としてのゲーテを身近な人に感じることができる。さすがと思わせる洞察や暮らしぶりに接することができ、この本は実に楽しく読むことができる。(1993/6/2)


光りというものがあり、色彩がわれわれを取り巻いているが、われわれが自分自身の眼中に光と色彩を所有しているのでなければ、外界にある光と色彩も、認めることはないだろうね。
エッカーマン『ゲーテとの対話』山下肇訳 岩波文庫p.123

船乗り
徐々にではあるが、彼(アレム)は、船乗りにとって一番大切な美徳は忍耐と健全なユーモアであり、それに、知性と辛抱の次には体力がものをいうことを理解しだした。
『信じられない航海』p.80(1993/12/4)
1997/12/26indexへ戻る

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 (1998/3/19)
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『悪童日記』『アメリカン・タイム』『イギリスはおいしい』『カメラ』『ラ・アルカリアへの旅』
 
『悪童日記』クリストフ・アゴダ著 堀茂樹訳 早川書店 1991 第1刷

簡潔な文体、意表をつく展開。一気に読了。”常識”をあざ笑うかのような人物の設定(双子の男の子とそのおばあちゃん)。一見、悪と見える彼等の行動の中に強い人間性の発露がある。置かれている立場の苦しさ、それを真正面から受け入れ、一歩も退かず、乗り切って行く精神力。感傷とは一切無縁な双子。感傷に浸ることを許さない状況。
戦場となった東欧の小国の悲惨が浮かび上がる。
双子とおばあちゃんとの関係は、人間同士のコミュニケーションというものの奥の深さを示している。
戦争というもの、人間というものを考えさせる力がこめられた書。(1991/9/3)
(1991/12/25付記:朝日新聞書評欄の評者の一人が、今年のベストスリーの一冊として、同じ著者の『ふたりの証拠』ともども、選んでいる(1992/12/22朝刊))
 

ラ・アルカリアへの旅』カミロ・ホセ・セラ著 有本紀明訳 講談社 1991 第1刷

ゆっくりと歩いて旅をする。こういう旅をすれば、その土地がそのまま見える。人も、家畜も、景色も、土ぼこりも、匂いも。
東京の対極のようなのどかな時間の流れる1946年のスペインの片田舎。人々の日々の営みが、ゆったりとした文章の中に的確に捉えられていて、読む者の心をさわやかにする。心が和む。
--そして野は、深い、鼻につんとくる、微かな、ほとんど刺すような臭いがする。(p.84)
--老人は何か育むような匂いがする、眠りにつくのに具合の良い、生暖かい、まろやかな匂いだ。(p.86)(1991/9/4)

アメリカン・タイム』ボブ・グリーン著 集英社

人間に関する深い関心、愛情がボブ・グリーンにはある。様々な人々、様々な生き方へいつも積極的にアプローチして、あざやかな語り口で、笑わせ、微笑ませ、しんみりとさせ、涙ぐませる。話題がよく尽きないなと思うほど、毎回、興味ある人物を紹介する。23才のときから、コラムを担当して、50に近い今日までずうっと続けてきたというから、驚く。(1991/12/25)

『イギリスはおいしい』林望著 平凡社 1991/3第1刷1992/2第11刷

心の豊かさを感じさせる筆者の才筆に一気に最後まで読まされてしまった。
なかなかの「味わい」だ。言うべきことは言うシャキッとした文章の切れ味がいい。酒飲みや俗物的な女に対するタンカ(p.166、p.248)の小気味良さ。良いものを良いと言える見識、人間へのあたたかなまなざしがある。次作(『イギリスは素敵だ』)への期待を膨らませる力を感じた。(1992/2/20)
(1992/3/21付記:『イギリスは素敵だ』も一気に読了。著者の「運」の良さと、強運を引き寄せる生き方、考え方にも感心した。この本には、したたかな人物との交流の愉しさが溢れている。)
 

カメラ』ジャン=フィリップ・トーサン著 集英社

別に対したことでもない些事をたんたんと語るなかに、深い洞察をさりげなくちりばめた文章に、読み始めたが最後、知らず知らずのうちに最後のページまでつき合わさせられてしまう。不思議な魅力に満ちた本だ。
 

1998/3/19indexへ戻る

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 (1998/3/19掲載)

自分自身のための知的生活のための覚書

 
 
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張り切りすぎるな「愉しみ」の要素を加えよ他人は他人と割り切るべしテーマは数多く読むときはいつもメモの用意を根気メモ用の用具は扱やすいものを絶えずめくれ用具を切らすな文章の三つのゴール
 
 

張り切りすぎるな
知的生産は長期戦だ。一挙に目的地に着こう全速力で飛ばして見ても、すぐ息が切れてしまう。短期間に成果を出そうとして、あまり張り切り過ぎると長続きしない。結局、長年にわたり、ゆっくりでも歩き続ける人にはかなわないことになる。張り切り過ぎると無理な計画を作りがちだが、これこそ禁物。
(91/12/24)

根気
知的生産の成果を生み出すのはなによりも根気。蓄積があってはじめて知的生産が可能となる。
 

「愉しみ」の要素を加えよ
長続きするためには、自分自身にとって愉しいものでなければならない。テーマの選定に当たって自分が真に関心を持つものに絞るべきだろう。いやいやながらでは、結局長続きしない。
(1991/12/24)

他人は他人と割り切るべし
出世第一主義の人もいれば、遊び専一の人もいる。知的生産は報われることが少なく、苦しきことのみ多い選択である。しかし、コツコツやれば成果も生まれる。出世して肩書きを手に入れても、そのこと自体があなたを満たすことはない。
(1991/12/24)

テーマは数多く
テーマは数多く用意し飽きたら別のテーマに切り替えよ。
飽きたのに無理をすれば、本当に飽きてしまう。テーマをあれこれ用意しておけば、取り替えることによって、新しい愉しみを見い出すことができる。しかし、いずれにしても、うんざりしているときは休め。無理して続けようとする必要はない。休めば新たな意欲が芽生えてくる。
(1991/12/24)

読むときはいつもメモの用意を
記憶はかげろうよりも早く消え去る。頭脳の記憶容量には限界があり、余計なものを詰め込むと新しいものが入らなくなる。考えるためのスペースが足りなくなる。
チェスの専門家といえどもデタラメのチェスボードを覚えるには素人と同じ時間がかかるという。(参照:加護野『企業のパラダイム改革』)
(1989/4/6)
 

メモ用の用具は扱やすいものを
@書き込みやすいことA携帯性がいいことB散逸しにくいものC後で整理しやすいものC後で読みやすい用紙とペンを
せっかくメモをとってもそれがなくなりやすいものであったり、後で整理しにくいものであっては困る。また、常時手元におけ、すぐに引っぱり出せるものでなければならず、書き込みやすいものでなければならない。後で消えたり、読みずらいものでも困る。
(1989/4/6)

絶えずめくれ
情報・アイデアは死蔵しては役にたたない。絶えず、めくって頭に刺激を与え、新たなアイデアを喚起し、また早速メモを取れ。
(1992/1/8)

用具を切らすな
メモ用紙、筆記用具、パソコン、携帯端末を絶えず、身の周りに置き、切らすな、けちるな。アイデアの起きそうなところにはメモ用紙をあらかじめ置いておけ(枕元、トイレ、居間など)。
(1992/1/8)

文章の三つのゴール
simplicity:明確さ
unity or clarity:論理的明晰性
humanity:自分の視点が確立した生き生きとしたスタイル
William Zinsser『On  Writing Well』より
(1993/2/1)

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(1998/3/25)

余暇時代の趣味的・知的生活ハンドブック/スケルトン(920521)

いつかこんな題名の本を書きたいと思ってスケルトンだけは作ってみました。完成するのはいつのことでしょう。でも、いいたいことは、このスケルトンだけでも十分伝わると思いますので、お眼を通し願います。
 
目次
  1.  余暇時代の到来
  2.  休日の過ごし方
  3.  アフターファイブの過ごし方
  4.  趣味を身に付けるノウハウ
  5.  生活の心構え
  6.  子供の育て方
  7.  若い時の心構え
  8.  中年無趣味族からの脱出
  9.  知的生活のノウハウ
10.  私の実践趣味的・知的生活
   旅行の楽しみ、読書の楽しみ、テニスの楽しみ、囲碁の楽しみ、執筆の楽しみ   音楽の楽しみ

題名の別案

趣味倍増のノウハウ
趣味の身に付け方講座
サラリーマンのための趣味学入門
余暇時代の趣味学入門
余暇時代の趣味学入門
 


サラリーマンのための趣味的・知的生活ハンドブック

(スケルトン)


 

 I.  余暇時代の到来

 余暇は暇にあらず、余暇時代は良か時代、eg. 「余暇と祝祭」、自己実現を図る 基礎としての自由時間の確保、勤労、勤勉も大いに結構、されど能率的に働いて 余暇を増やす工夫が必要だ。余暇が無ければ人間にあらず。

 労働時間一八〇〇時間の時代( 政府の新経済計画  年間総労働時間千八百時間を 目標とする。大部分の業種において週四十時間労働制を実現。学校五日制の定着 と段階的な拡大。) ・一年に一三五日休暇の企業( 週間東洋経済9205  号) 外国 ではもっと自由時間が多い。それを欲したから長い。

 人生80年時代( リタイヤ後も長い年月) 生涯にわたる学習の必要。趣味が無けれ ばリタイア後が悲劇、濡れ落葉は嫌われる。

 文化劣位の経済大国・文化大国を目指すために eg.佐和隆光「尊厳なき大国」
 ひとりひとりの文化度が上がらなければ文化大国にはなれない。

 趣味を増やそう、趣味は努力次第で増やせる。今からでも遅くない。始めるに遅 すぎることはない。しかし、身に付けるコツを知っているのと知らないのとでは 雲泥の差。
 

 知的生活の実践、人間の本性としての知的なものへの傾倒。知こそ人間の基礎

◆ 仕事と趣味は両立する・両立させてこそ真の人間らしい生活

◆ 「二足のわらじ」で悪くない・一社専業、この道一筋ははやらない

◆ ライフワークを持とう、人生八十年、生き抜くための原動力としてのライフワー ク。生き甲斐の源泉としてのライフワーク。自分に適したテーマの選定。

◆ 恰好良さが求められる・カッコ良さに文化の香り。見てくれだけでは不十分。

◆ 脱会社人間の勧め・会社人間時代の終焉( 会社人間が会社を潰す) 社会参加。地 域社会との交際の必要。ボランティア活動への参加。社会貢献への参加。

◆ 趣味的・知的生活人の勧め・これからのライフスタイル、自分を高める。

◆ 仕事も生き甲斐の時代へ・仕事が生き甲斐の時代から

◆ 心の豊かさの時代へ/ 効率・金儲けの時代から
 
 
 

 2.  休日の過ごし方

 ゴロ寝テレビではもったいない、趣味がないと結果的にソウナル。接待ゴルフが なければゴロ寝テレビでは人間の幅が出来ない。

 自然は待っている、都市にも鳥はいる・都市鳥ウオッチングの勧め、フレッシュ な空気を吸わなければ生き物としての人間は生気を失う。生き物としての人間を 感じる必要あり。

 趣味人の張り切る日、趣味を身に付け、楽しむには休日が最高。知らず知らずの うちに早起きしてしまう休日。
 

 知的生産の稼ぎ時  休日に生産しなければ効率は落ちるのみ。

 楽しみの相乗効果・楽しみは連れを連れてやって来る。一つのことに習熟すれば 、同じようなことは次々に身に付けることが可能である。

 海外旅行も手の内に、休みが増え、連休が増えれば、海外へ足を延ばすことも簡 単になってくる。今では国内旅行より割安の海外旅行が幾らでもある。休日を大 いに利用すべし。
 言葉を覚えれば海外旅行も楽しい、逆に言葉を知らなければ海外へ行っても楽し みは減る。日頃から言葉を物にしておくことが重要。通勤時間はヒアリング。
 

 長期休暇こそ余暇の醍醐味、日本ではまだ本格的に普及していないが長期休暇こ そ休暇の醍醐味を味わうことができる。全く会社生活と異次元の楽しみが一杯詰 まっている。それを味わえるかどうかは日頃の心構えにかかっている。
 
 
 
 

 3.  アフターファイブの過ごし方

 アフターファイブの過ごし方が人の一生を左右する、人生は短く一日はすぐ終わ る。アフターファイブに何かしなければ進歩はおぼつかない。たとえ半歩でも前 に進むべく毎日努力すればその積み重ねが、大きな進歩に繋がる。これを三十年 続けた人とのんべんだらりと過ごした人では、比較にならない程の差が出来る。 後で悔やんでも後の祭り。

 無限にあるサービスを活用しよう。  なにかしようと思ったら、利用できるもの がそれこそ無限に在る。例えばゴルフの腕を磨こうというのであればゴルフスク ールはいっぱいある。各種スクール、大学のイクステンションスクール。

 グループ作りのノウハウ、情報交換会を作るのも、一つの方法であるが、そのた めには、気のあった人と先ず月に一回でも会ってだべることから始めたらよい。 それを定例化し、人の輪を広げていく。グルメも同時に楽しむ。
 

 会社との付き合いは必要最小限度に、割りきりが必要。会社人間からの脱出。

 たまには冒険して知らない所へ行ってみよう、行き先を定めない乗車、ドライブ 、知らない店に飛び込む。

 スリルがなければ楽しくない。何時も正常位ではセックスもあきが来る。日常的 なもの、定番から外れたものにトライしてみる。

 セクシーさこそおいしい 。
 着慣れないものを着てみる、食べ慣れないものを食べてみる、読み慣れないもの を読んでみる、要するに日頃し慣れないものを意識的にしてみる。

◆ 食べる楽しみ・エスニック料理は味の冒険
◆音楽・演劇・映画の楽しみ
◆水泳・ゴルフ・テニス

 これは私の再挑戦のマニフェスト、再度趣味を増やし磨くために、これまでの経 験を総浚え
 

 4.  趣味を身に付けるノウハウ

 

 継続する、何事にせよ身に付けるためには、それなりの時間が掛かる。速成はそ れなりの楽しみしかもたらさない。碁の三十級、三級と六段とでは、楽しみのレ ベルが全く違う。しかし急には六段にはなれない。しかし、毎日十五分でもよい 、碁について真剣に考えれば必ず六段にはなる。継続は文字通り力なりである。 三十年続ければ一日十五分も、百十四日分

 自分は何をしたいのかを分析する、自分が何が楽しいかを分析し、身に付ける趣 味を選ぶ。人がやっているから、流行っているからといって手を出す人が多い。 これがテニスブーム、ボーリングブームとなるのであるが、本当に自分がたのし いとおもえるものに手を出すことが本当の趣味とする要諦。しかし、短期間で見 極めることも難しいので、本当の趣味を見つけるには、忍耐力も必要だ。
 

 不可逆点までとにかく頑張る、「元に戻らぬ点まで一気に曲げよ」物事にはそこ まで行くと逆戻りしない点、不可逆点がある。例えば碁でいえば3級、テニスで 言えば、バックハンドが打てる。など。とにかくそこまでいけば腕が落ちないと ころまで頑張れば身につく。そこに到達する前に諦めてしまうので、身につかな い。一度その点まで行けば、暫く離れていても少しやれば直ぐ戻る。いろんな物 に手を出すけれど、いつも不可逆点の一歩前の所で諦めて結局あぶはちとらずで 終わり、身についた趣味を何も持たない人がいる。これは人生を豊かに生きる上 からは極めて効率の悪い生き方というべきもの。短期集中げ不可逆点の突破を図 れば、いろんなものが身につく。
 初期投資を惜しむな  単にお金だけでなく時間、関心など始めるときにはたっぷ りと注ぎ込むことが重要だ。いい加減にやると時間ばかり掛かって、身につかず 結局ギブアップすることになり、全部が無駄になる。

 諦めるな、自分には才能がないらしい、もう諦めようとせっかく始めたものを途 中で投げ出す人がいる。これは勿体ない。しかも、何事にも一直線の進歩はなく 、ジグザグの進歩しかないということを知らず、進歩するための後退時期に差し かかったりすると、自分に才能がないと諦めがちだが、これは、むしろ飛躍のた めの雌伏の時期であることを悟りむしろ意欲をもやすべきなのだ。
 

 面白くないものは無理をして付き合うな、楽しいことは長続きする。「楽しみな がら身につける」
 

 様々なシュチュエーションに役に立つように多くの趣味を持つ、あらゆるシチュ エーションに万能と言える趣味はない。従って人生のいろんな局面で役に立つよ うに出来るだけバラエティに富んだ趣味を身に付けておくに越したことはない。 目を傷めたら読書は出来ないが、音楽なら聞ける。足を傷めたらスポーツは出来 ないが碁は打てる。単身赴任でも困らない。
 
 

 同好の人を見つける・仲間を作る・手近にライバルを持つ( 趣味は人脈作り)    一人で旨くなれるものもあれば人の助けがあったほうがベターなものとがある。 多くは人の助けを借りたほうが進歩が早い。
 

 自分にとっての基本書を見つけ繰り返し読む、「基本書百遍趣味自ずから身に付 く」その趣味を身に付けるには、気に入った入門の手引きを見つけること、或い は遭遇することが、基本。手元に於いて繰り返し読む事が、身に付ける基礎だ。 いかに優れた入門書を見つけるかもその人の実力の内。運もあるが。
 EG.チルデンの「テニス」

 他人と違うことを恐れず・他人と違う事を目指せ、人がやっていることが自分に は面白くない、自分は人のやっていないことではあるがこれこれ然々のものが面 白いという人もいるが、そういう人はその自分が面白いと思うことにこそ精力を つぎ込むべきであろう。
 

 自分にとって面白いことは何でも趣味になりうる、

 身に着けるコツを覚えると同じ要領で趣味はドンドン増える「コツを掴めば、   一度、趣味を身に付けるとその要領を覚えて、次々と新しい分野にもチャレンジ 出来、しかも、前より一層容易にあるレベルまで到達できるようになるものだ。 一芸に秀でた優れた人が多忙にもかかわらず意外といろんな趣味を持っているこ とに驚かされるが、これも一芸を身に付ける時の要領を趣味にも生かしている証 拠である。全的な存在としての人間、見よ、ゲーテ、ダビンチなど
 
 
 
 

 5.  生活の心構え

 冒険心を磨く、幾つになっても新しいものにチャレンジする冒険心を養う。常態 に止まることは後退を意味する。前に少し進んでいるように自分で思っているぐ らいでやっと後退しないですんでいる程度である。冒険する意欲が衰えたときか ら老化が起きる。冒険心を持つためには、冒険心を持とうと常に意識すること、 健康を維持すること、が重要だ。
 グランドマーモーゼルは七十才で絵を始めた。ジョギングの例。
 

 好奇心を持つ、あらゆる生命体は、好奇心を持っている。サルの実験。「波多野 「好奇心」参照。好奇心を失うのは回りの環境に対する興味を失うからである。 現状でいい、と満足するか、後退を受け入れる弱気の所産である。あるいは他の ことに関心の全てを奪われ、ヘドアップしているかである。会社人間になりすぎ ると好奇心も失う。好奇心は心の健康のバロメーターでもある。常に研ぎ澄まさ れて好奇心を持つようにコンディションを整えて置かなければならない。
 

 関心領域を広げる、人間放置しておくと関心領域は狭まる一方。意識的に関心領 域を広める努力が必要。古本市をのぞく「古本利用で視野拡大」。雑誌を買って くる。などのノウハウで関心領域を常に広くたもつ。筆者はコラム欄の執筆者と なり関心領域を広く保つ努力をした。職業も視野の広さを要求。
 

 時間を有効に使う、実りのある人生を送るには時間を有効に使わなければならな い。これに成功するかどうかで一生の充実度は大いに違ったものになる。早く身 に付けなければならない。小刻みな時間の有効活用(一日十五分法)「小間切れ 時間もつなげば長い」「チェックリストは時間節約」
 

 ◆スケジュールを作る、
 

 ◆プロジェクトを起こす、プロジェクトカードを作り何でもいいからプロジェクト を起こし取り組む。
 

 ◆目標を定める、

 ◆人を真似る

◆人間関係を増やす、三人寄れば、何か共通項

◆ まず着手、結果は二の次三の次
 
 

 6.  子供の育て方

 

 趣味は一生の宝、多趣味の人に育てよう
 子供のころから趣味を身に着けさせる、親が示せば子は真似る、子は親の背を見 て育つ
多趣味の人の子は多趣味
 

 ◆子供と遊ぼう、子供と遊んで自ら学ぶ、子供と遊ぶ動物の智慧

 ◆文化大国は子供の教育から、日本の文化劣国を脱却には一世代も二世代も掛かる 。

 ◆知的関心を磨け、

 ◆自ら実践

 ◆勉強だけの勉強嫌い、遊ぶ角には、福が来る

 ◆遊んで学ぶ真の学問
 
 
 
 

 7.  若い時の心構え

◆ 自分は未来の自分の親父、「オヤジのオヤジは十五才」早く始めるに越したこと はない、「青年老いやすく趣味身につかず」
 
◆長年親しんでこそ本当の身についたものになる、一夜漬は通用しない。
 
◆四十の手習いでは遅きに失することになる。四十の手習いには気休めの部分もあ る。

 ◆旺盛な好奇心を生かせ、気力体力の在るうちに不可逆点を突破しておけ

 ◆貪欲に首を突っ込め、役に立たないものはない、

 ◆他人に合わせるな

 ◆旅行をせよ・自分だけで、

 ◆人に頼り過ぎるな、人のアドバイスを聞け(本)

 ◆本を読め

 ◆可能性は無限、しかしこの瞬間を掴まなければ、可能性も消え失せる

 ◆目的意識を持て
 
 

 8.  中年無趣味族からの脱出

 ◆会社人間からの脱出を図れ、

 ◆汝自身を知れ・何に興味があるかを分析せよ・意外と知らない自分の実像

 ◆始めたら怠るな

 ◆笑うものには笑わせておけ、心の余裕が必要

 ◆早い収穫を期待するな・急いては事をし損ずる

 ◆継続すれば必ず報われる

 ◆早く着手せよ・歳月人を待たず

 ◆家族の趣味と合わせる、わが家では、テニス、スキー、マージャンが共通の趣味 。
 
◆奥さんと同じ趣味を持て・奥さんの趣味に手を出す、一緒に過ごせば夫婦は和合 。

 ◆酒・カラオケ・パチンコからの脱出、たまには良いがそれだけでは困る。

 ◆自分の改造、永年の垢も流せば取れる。
 

 ◆単身赴任も怖くない

 ◆金をかけずに楽しむことこそ要諦、金がないから長期休暇は要らないは嘘。
 

 9.  知的生産のノウハウ

 ◆メモメモメモ、メモ帳を手放すな、anywhere,anytime.
 

◆時間管理・ちょっとの時間も有効活用,anytime隙間時間の有効活用「小間切れ時 間も繋げば長い」

 ◆データの入手、

 ◆シンクシンクシンク、

 ◆息抜きも趣味で(脳味噌は分業体制)、

 ◆データ管理の巧拙

 ◆FA、OAの活用が決め手

 ◆新製品を貪欲にフォローアップせよ。利用出来るものは早く買ったが得

 ◆ワープロ/パソコン/インターネットは必需品

 ◆アンテナ効果とキーワード

 ◆読書の効用

 ◆通勤時間のヒアリング

 ◆問題意識が問題だ

 ◆倦まずたゆまず積み重ね

 ◆知的な人ほどセックス上手、ポルノグラフィーも悪くない。想像力こそセックス の源泉

 ◆睡眠不足は息切れの因、眠る角には笑いあり
 

 ◆記録も溜まれば趣味になる、こまめに記録を残せ、EG.ゴルフの記録、私は読 書、テニス、碁、など。
 

 10.  私の実践趣味的・知的生活

 旅行の楽しみ・紀行文、行ったら残せ紀行文、写真、8ミリも悪くない。ドライブの楽しみも。

 読書の楽しみ、古本あせりで、 自前の図書館。死ぬ日までの本がある。

テニスの楽しみ、このみち四十年、芸は身をたすく。

 囲碁の楽しみ、プロに二三子、プロの知り合い。碁が取り持つ縁もある。

 執筆の楽しみ、出版三冊、随筆も連載五年、ワープロ無くては夜も明けず。

 音楽の楽しみ、オーディオセット、CD、音楽会、テープ、VD、ビデオ。

 ゴルフの楽しみ、見果てぬ夢とは知りながら

 スキーの楽しみ、短期集中技磨く、北海道は招くよ。

 短歌の楽しみ・即興和歌日記、歌で綴った日常風景。

俳句・川柳・歌詞造りの楽しみ、眼が生き生きとなり、生活に張りが出ること請け合い。

 言葉遊びの楽しみ、言葉遊びは頭の体操、ユーモアが生む余裕、

 写真の楽しみ、カメラ、ビデオカメラ、デジタルものも一通り 。

水彩画の楽しみ、絵を書くこともきらいじゃない。インターネットギャラリーに出すのも悪くない
 
自然の楽しみ、生き物見れば気が休む。おれも動物、仲間意識。餌台に落下生むいて六年
 
観劇の楽しみ、夕鶴のよひょうを演じた中学生、観劇会も楽しい。

 

 ダンスの楽しみ、不可逆点を突破した、外国生活も楽しみに。

 家族との交流の楽しみ、家族も誘えばついてくる、家内安全お守り替わり。趣味が合えばなおよし

 パソコンの楽しみ、知的生活の必需品、何でもできるよ。お絵描き、CG・・・作曲・演奏も夢じゃない
 
インターネットの楽しみ、HPを創る楽しみ、HPに訪れる人との新しい交流、別世界が見られる楽しみ
 
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